録音編

 さて、いよいよ録音しましょう。機材も揃ったし、セッティング方法もわかったし・・・。でも、ちょっと待って下さい。そーいえば、どこで録音すればいいの?そうです、録音するためには場所が必要です。とくに、音響劇(ラジオ・ドラマとかサウンド・ストーリーとか)を録音するばあい場合、大声をはりあげて喧嘩したり、「助けて〜!!」なんて叫んでしまうシーンが出てくることもあります。もちろん、そんなの平気さっというのなら、普通の家、極端な話、あなたの部屋のなかでもいいでしょう。でも、周りの人にビックリされて警察や救急車を呼ばれないようにしてください。

 他のサークルがどのように録音しているのかあまりわかりませんが、私たちの場合は、公共施設(○○センターとか、○○会館というところ)の音楽室や会議室を利用しています。音楽室はもともと音楽を大きな音で演奏して良いようになっていますので心いくまで大声をだすこともできます。会議室でやる場合は、ちゃんと施設の人に断ってから使用するようにした方が良いでしょう。あなたの身近な施設を探して下見させてもらいましょう。

 ようやく場所も決まり、さて録音です。セッティング図に基づき、必要なセッティングをすませて下さい。その間、演じる人(以後、声優さん)は声の調子を整えておいてもらうといいでしょう。セッティングは以外と時間がかかるものです。ちょっとでも喉をあたためておくのが理想です。

 っと言っている間に、セッティングが終わったとしましょう。ここからがいよいよ本番です。まずは音を出してみましょう。え?何故音を出すかって?もちろん、ちゃんと接続できているか、右チャンネルや左チャンネルは合っているかをチェックするわけです。CDやMDだけでなく、マイクのチェックも忘れないで下さい。チェックはできればキャルトーン(テスト信号用のサイン波シグナル・トーン)だと、レベル調整(CDやMDの出力に対して、録音機の入力を調整すること)が楽です。なければ通常聞き慣れている音楽CDとかでチェックするのでも構いません。このキャルトーンだけを発生する機器も滅多に見かけませんが売られています。秋葉原のオーディオ関係店で探してみましょう。
 ところで、レベル調整っと簡単に言ってしまいましたが、これも結構ホネです。基本的な考え方は、ミキサーを通すときに、入力と出力の音声レベルを均等にするためのミキサーの調整ということです。たとえば、音楽CDを再生し、ミキサーの入力レベル、出力レベルともに標準に設定。あとは、録音機の録音レベルを調整すればよいのです。この調整が終われば、マイクレベルの調整も同様にしておきましょう。ただし、録音機の録音レベルが決定していたら、マイクのレベルはミキサーであわせて下さい。
 ちなみに、後日編集方式で、「今日は声優さんの演技だけ録音」という人はチェックしなくてもいいというわけではありません。かならずマイクチェックはしましょう。

 チェックも済みました。じゃぁ、声優さんをマイクの前に立たせて・・・。あせらない、あせらない。まだ録音は開始できません。今度は失敗しないためのマイクレベル・チェックをしましょう。アマチアの声優さんはみなこえの質、大きさ、しゃべり方がまちまちです。プロの声優さんのようにマイクを1本立てておけばとれるというわけではありません。そこで、実際の台本にそって一度声を出して演技してもらい、その声の大きさなどをチェックしておきましょう。急に大声になる場合やひそひそ声になるようなシーンはあらかじめ台本でチェックしておくのも手です。

はみ出しポイント
 アマチア録音で恐いNGがマイクの吹きNGです。マイクはご存じのように、声を振動に変えて電気的に伝えます。このとき、マイクに息が吹きかかると一気に極端な振動が起きてしまい、「ボッ」っというノイズ音(ポップノイズ)になってしまいます。これは意外と意識していなくてもなることが多いです。原因としては声優さんがマイクに近付きすぎ、台詞で極端に息をはくシーンがある。声優さんの肺活量が異常にでかい(ウソ)っというのが考えられるでしょう。
 もっとも簡単な解決法は息がマイクにかからないように離れればいいのですが、これでは遠くで喋っているかのように録音されてしまう恐れもあります。じゃぁ、マイクに息がかからないように、声優さんとマイクの間に板を置いて・・・。これも結果的にはいかにも声が遮られたような感じで録音されてしまいます。そこで便利なのが、ポップガード。声は通すけど息は通さないというすぐれものの素材を使うことで音を遮断することなく録音できます。最近では楽器屋さんとかでも6000〜7000円で購入できます。そんなもん、売ってない!なんて怒らないで下さい。実は、これは自分でも作成できるのです。用意するものは、新品(使い古しでもよい)のストッキングと、手芸用のリングだけです。ストッキングは空気を通す目が細かいため、大量の息などは通りにくい特性があります。ですので、これをリングにはさんで切り取れば、なんと、ポップガードと同じ能力をもったものができるのです(写真1)

 さて、セッティングもレベル調整もできました。録音しましょう。録音するときは静かにして、声優さんの声をとることに集中します。でも、なんにも喋らずに録音開始を伝えるのは難しいモノ。とくに、台詞のタイミングなどを指示しなくてはいけないような場合はしゃべれないのでは困りますよね。そこで登場するのが、キュー・サイン。よくテレビとかで「3、2、1、キュー」っとかやっていますよね。あれです。つまりは喋れない状態での合図ですね。これはわりと録音には重要です。よく使うような合図はあらかじめ決めておくとよいでしょう。ちなみに、録音開始のときにはカウントを5から始めると便利です。たとえば、「5、4」だけは声に出して言い、「3、2、1、キュー」は手で合図するという風にすると、録音したテープに無意味なカウントの声が入らなくて編集などが楽になります。さらに、録音機材の録音開始をこのカウントに合わせれば、録音開始の頭から声を入れることが出来ます。この方法はMDやDATなど、IDナンバーを書き込める録音機で便利ですので試してみて下さい。

さて、録音も順調に進めばあとは編集です。編集編でその流れを解説いたしましょう。

つづく。

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