編集編(3/3)

 「一人で編集をしなくてはならない・・・・」こんな悩みを持っている人に大きな力となってくれるのが、MTR(Multi Track Recorder)です。

 「MTR?なんじゃそりゃ?」という人のために、ちょっと説明しましょう。MTRとはその名の通り、複数のトラックを持つ録音機器です。トラックとは音声を記録する部分をしめすものと思って下さい。例えば、カセット・テープでは片面2トラック(ステレオですので、左チャンネル用に1トラック、右チャンネル用に1トラックの計2トラック)で、A、Bの両面あわせて4トラック分持っています。この4トラックを一度に使ってしまおうというのが、4トラック・カセットMTR。さらに、1トラックごとに録音再生できるようにしておくことで、重ね録音ができるようになっています。最初に1トラック目に演技の音声を録音しておき、次に1トラック目を再生し聞きながら2トラック目に効果音を録音するということができるわけです。

 現在、MTRはカセット・テープを使用したカセットMTR(4トラ、8トラ)をはじめ、MDを使ったMDMTR(4トラ、8トラ)、ハードディスクなどのデジタルMTR(4トラ、6トラ、8トラ、16トラ)などがあります。予算や目的に合わせて購入しましょう。たいていは楽器店で購入できます。

 では、どうやって音響劇を編集していけばよいのでしょうか。これは、使用するMTRで多少異なってくるのですが、基本的なやり方で説明していきましょう。
 まず、演技だけを先に収録したマスターテープをMTRに録音します。モノラルでかまわなければトラック1に。ステレオで録音したければトラック1、2を使用して録音して下さい。ちなみに、各トラックは自由にパン(左右の設定)ができますので、ステレオで録音した場合は、該当するトラックの左右を設定して下さい。通常、トラック1に左の音声を、トラック2に右の音声を録音してステレオとして使用します。このとき注意しなくてはならないのは、録音する演技だけの音声は、効果音の間がすべてとってあるということです。間が取っていなかったり、シーンがきちんとできあがっていない場合は、まずマスターでシーンを作り上げてからMTRに収録するようにしてください。

 演技の音声を録音できましたら、次は演技の音声を聞きながら効果音を重ねていく作業に移ります。効果音はあらかじめ単体ごとにすぐに再生できるようにしておいて下さい。例えば、MDに効果音を1つずつ録音しておくと便利でしょう。MDはカセットテープとは異なりCDのようにランダムアクセスできるのが特徴です。ですので、1曲目にSE1を、2曲目にSE2をと順番に録音して用意すれば、SE1が終わった途端SE2の頭出しをするといったことができます。ちなみに、同様の手段として小型の簡単なサンプラーを使う手もあります。サンプラーの場合はMDと違って同じSEを連続で再生できるという利点があります。例えば、短銃の銃声をSE1として1発だけ録音しておけば、台詞やアクションに合わせて連続してSE1を再生して何発もの銃声にすることができるわけです。しかし、サンプラーの場合はMDとは異なり長時間SEを録音できないという欠点があります。このへんは注意して利用して下さい。

 さて、ここまでくれば後は一発録音の方法と同じですね。MTRの1、2トラックにあらかじめ録音しておいた演技の音声を聞きながら、MTRの3、4トラックに効果音を録音していきます。一発録音の方法と同じように、台詞のタイミングなどに合わせて効果音を再生するわけですね。ちなみに、たとえ失敗したとしてもMTRなら大丈夫。再度3、4トラックの効果音の部分だけ録音し直せばよいわけです。音量バランスを間違えても、収録後すべてのトラックを再生するさいに音量バランスを修正できるのも利点でしょう。

っと、いうわけで、駆け足で説明してきましたが、おわかりいただけたでしょうか?

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